細胞療法研究開発センター細胞規格に関する共同研究・委託研究
細胞規格と細胞製造に関する共同研究・委託研究
例:多能性幹細胞の分化能を決める因子の同定
Scientific Reports Jan 10;8(1):241
多能性幹細胞(ES細胞/iPS細胞)は、未分化のまま自己増殖できる能力とあらゆる細胞や組織に分化できる分化能の双方を兼ね備えた幹細胞である。当Labでは多能性幹細胞の上記2つの能力を品質規格として確認するため、Vitronectine-N (VNT-N)でコートした培養皿に細胞を単一細胞して撒種しEssential 8 (培地E)で 培養 (培地EVNT-N)で培養し未分化能を保持を確認し、さらに胚様体:Embryoid body (EB) 形成assayを行い分化能保持を確認している。ところがES細胞株KhES-1を培地E/VNT-Nから培地R/VTN-Nに移し、5 継代培養後同じくEB形成assayをした場合は、EB形成ができず分化能が失われる。この分化能を失った細胞を、再び5 継代 Es8/VTN-Nで培養しEB形成assayを行ったところ、EBも形成され、分化能が回復した(Figure 1A)。これはES細胞株H9やiPS細胞株201B7やPFX#9でも同じことが確認された。
これらのことから多能性幹細胞の遺伝子ではなく、培養している細胞のepigenetic な遺伝子装飾状態の差異が分化能を決定していることが推測されたため、同様な条件で分化能保持/喪失状態の複数のES/iPS細胞株のmethylation状態を beadchip (Illumina)とGeneChip(Affymetrix)で探索した結果、ヒト胎児の器官発生に関係のあるchromatin remodeler family の一員であるChromatin Helicase DNA Binding Domain 7 (CHD7)の発現量の違いが、ES/iPS細胞の分化能を決定している可能性が示唆された。
各写真下のBar GraphはqRT-PCR Sore card Panelで解析した各遺伝子群の発現量(index)を示す。
Figure 1

Figure 1

Figure 2

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