365日リハビリテーションを実施し、
在宅復帰率90%を実現
西記念ポートアイランドリハビリテーション病院
専門医と医療従事者の手厚い支援
「西記念ポートアイランドリハビリテーション病院」は神戸市立医療センター中央市民病院や兵庫県立こども病院などの急性期病院、地域の医療機関と連携し、回復期のリハビリテーションを専門的に行う病院です。急性期の治療を終えた患者さんを受け入れ、早期にリハビリを開始することで、病気の後遺症を最小限に、また、生活の質(QOL)の維持と向上を目指しています。病床数は150床。うち早期の自宅退院を目的としたリハビリを行う回復期リハビリテーション病棟が100床、長期にわたる継続療養が必要な患者さんのための療養病棟が50床あります。入院中はリハビリ専門医を中心に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が1日最大3時間のリハビリをサポート。看護師や看護助手が入院生活を支援し、速やかな自宅退院を目標に365日体制で取り組んでいます。また、自分の口から食事をとることによるQOLの向上と感染症予防にも目を向け、栄養士、歯科医師、歯科衛生士による口腔ケアや嚥下障害対策、安全な食事メニューの立案にも力を注いでいます。
音楽療法や合併症対策も積極的
院内では脳神経外科医、整形外科医、心臓血管外科医、循環器内科医といったスペシャリストも多く活躍しています。各専門医の指導下で、脳血管疾患や整形外科疾患、心臓疾患の治療後に的確なリハビリを行うことができるのは同院の大きな特徴の一つ。患者さんごとに個別プログラムをしっかりと立て、多職種が緊密に連携を取りながら継続してリハビリを支援していくことで、約90%という高い在宅復帰率を実現しています。「人間は人と一緒ならできるもの」と小澤修一院長は言います。自宅復帰となった患者さんに対しても外来リハビリを継続し、身体機能を維持することに努めています。また、スムーズな自立をバックアップし、安心した日常生活を送ってもらうために、必要に応じて理学療法士などが家庭訪問を実施し、暮らしやすい生活環境や居住空間についてのアドバイスも行っています。
さらに同院では、音楽療法士による音楽療法を月3回行い、院内コンサートも開催しています。小澤院長は「長期間に及ぶリハビリでは、壁に当たったり焦りが出たりすることもあります。そんな時に音楽療法が良い気分転換になり、音に合わせて手を動かしたり声を出すことがリハビリにつながります」と、その重要性を説きます。また合併症に対する備えも充実。MRIや骨密度測定装置、CPX(心肺運動負荷試験)などの専門機器を揃え、もしもの時には近隣の医療機関への橋渡しもスピーティーに行っています。
今後はより一層外来に力を注ぎ、在宅生活期のリハビリテーションにも重点を置きながら、地域に根ざした医療を提供していきます。
私は長く急性期の現場で働き、多くの命を救ってきましたが、患者さんの退院後まで目配りできなかったことを心苦しく思っていました。第一線にいたときはたくさんの人に助けてもらったので、これからは私が地域に恩返しをする番。「明るく元気に楽しいリハビリ」をモットーに、その人らしく暮らせる毎日を支援していきます。
がんや自己免疫疾患に打ち勝つ創薬の
研究開発に尽力
カルナバイオサイエンス株式会社
KBIC発、ベンチャーからの飛躍
「カルナバイオサイエンス」は、2003年にバイオベンチャー企業として神戸で設立されました。設立者の吉野社長は、もともとオランダの製薬会社「オルガノン」で研究所長を務めていましたが、一念発起し同社を設立。神戸市からの誘いもあり、神戸医療産業都市で医薬品の研究開発をスタートしました。現在では、国内外をフィールドに創薬事業を展開し、画期的な新薬の創出につなげています。
社名につけられた「カルナ」は、ローマ神話の健康を守る女神の名前に由来しています。まだ有効な薬がない病気に対し、改善や治癒へと導く新しい薬を開発し提供することで、人々の役に立ちたいという創業の志が込められています。
現在はがんと自己免疫疾患に特化した研究を進めており、なかでもオルガノンから引き継いだキナーゼをターゲットとした創薬の研究には、長年力を注いできました。キナーゼとはがんの研究を進める過程で見つかった酵素です。さまざまながん疾患において高い頻度でキナーゼが異常をきたしていることがわかり、この異常を抑制する薬が誕生すればがん治療に効果を発揮するのではと、同社を含めた多くの製薬企業等が研究に取り組みました。その結果、今では複数のキナーゼ阻害薬が誕生。がん治療の可能性を広げた同社は大きな飛躍の時を迎えています。
海外の製薬企業からもアプローチ
カルナバイオサイエンスでは今、30名を超える研究員が日夜熱心に研究開発に取り組んでいます。「製薬企業は不便な郊外に研究施設を構えていることが多く、欲しい人材が集まりにくいというデメリットがあります。一方、神戸医療産業都市は空港が近く交通の便が良いことに加え、研究しやすい環境にも恵まれているので、優秀な人材の確保がスムーズだと感じています」と、社長の吉野公一郎氏は神戸に拠点を置くメリットを挙げます。
国内外を問わず、同じ情熱を持って創薬研究を推進できるパートナーをフットワーク良く探し続けている同社。納得できる結果が出るまでとことん追求するという誠実な研究姿勢を高く評価され、多くの外資系製薬メーカーとも提携。順調に取組みを続けています。
薬の研究は多くの時間と人材、資金を投じても確かな結果が約束されているわけではなく、手探りで常にリスクへの挑戦だと吉野氏は言います。困難の多い研究を継続し、努力を結実させるために、カギとなるのはやはり人。「まず大事なのは研究者のレベル。特に研究者のひらめきが重要です。あとは何があっても諦めないという執念でしょう」
近年は、若い女性に患者さんが多いリウマチに対して、画期的な新薬を開発することも大きな課題の一つとして掲げているカルナバイオサイエンス。世の中に難病で苦しむ患者さんがいる限り、これからも前進を続けます。
不治の病と言われてきたがんですが、近年はある程度薬でコントロールできるようになり、本庶佑先生が発見されたPD-1抗体等をうまく活用すれば、治る可能性も出てきました。しかし、すべてのがんに有効と言えるようになるまでにはまだ研究が必要です。私たちの目標はがんを治す薬を世に出すこと。ぜひ期待していてください。