再生医療研究や視覚障がい者支援等
で眼科領域をリード
神戸市立 神戸アイセンター病院
眼科に関する総合的支援を提供
神戸市立神戸アイセンター病院は、眼科疾患の標準治療から最先端高度治療、ロービジョンケア(視覚障がいがある方への生活支援)、新しい治療の研究をトータルに行う、日本で唯一の公的な眼科専門病院です。2017年に開院してから、眼科医療の様々な分野のスペシャリストたちが地域の眼科診療施設と連携しながら、主に成人を対象としたあらゆる眼科疾患の治療に励んでいます。また、職員が一丸となり、ホスピタリティにも注力。入院患者さんへの満足度調査では、4年連続100%を達成しています。スマホで診察待ちの状況を確認できるサービスも提供しており、外来患者さんに好評をいただいています。
院内2階にある「ビジョンパーク」では、視覚障がいがある方の日常生活や社会復帰を支援。見えない、見えにくいことで起こる情報不足への不安やコミュニケーションの困難をカバーし、リハビリや就労支援などを行っています。クライミングウォールを備えた開放的な空間や、視覚障がいに関する情報提供などのサービスは、一般の方も利用することができ、人々の交流の場にもなっています。
ビジョンパーク エントランス風景
再生医療で世界の患者さんを救う
同院が担う大きな使命の一つが、眼科疾患における再生医療の研究と開発です。アイセンター病院の前身である神戸市立医療センター中央市民病院眼科と先端医療センター病院眼科の時代から長年に渡り、理化学研究所と共同でiPS細胞治療の臨床応用など最先端の研究開発を推進してきました。近年では、滲出型加齢黄斑変性や網膜色素変性症といった難病に対し、iPS細胞を応用した世界初の移植手術に成功しています。栗本康夫院長は「iPS細胞の移植はまだ本格的な実用化前。私たちが推進している再生医療の実用化を加速させて世界に広げ、1日も早く治療法のない眼の病気に苦しむ患者さんへ希望を届けたい」と力強く語ります。また、いち早く遺伝子治療の研究にも着手し、患者さんの生活の質の向上や眼科医療の発展のために研鑽を重ねています。
「神戸市は当院の取り組みに大変協力的で、さまざまなバックアップを得られるのは非常にありがたいこと。神戸医療産業都市内の関連機関とさらに緊密な連携を取りながら、多くの期待に応えられるよう、積極的に新しいチャレンジを続けたい」と意欲を示す栗本院長。その歩みに世界が注目しています。
当院では、世界最高の眼の治療やケアを患者さんに届けるため、日々努力を重ねています。また、その成果をまずは神戸市医療圏の患者さんにいち早く享受していただきたいと考えています。市民の皆さまには、神戸市に神戸アイセンター病院が存在することを誇りに思っていただけるよう、より高みを目指していきたいと思います。
業界初 データによる品質管理で細胞製造を自動化
シンフォニアテクノロジー株式会社
再生医療産業にイノベーションを
創業100余年の歴史を誇るシンフォニアテクノロジー株式会社は、船舶用発電機の開発から始まった電機メーカーです。長い歩みの中で培われた技術と知識は、宇宙ロケットから半導体製造装置まで、幅広い製品に応用されています。同社では、2013年より医療分野への参入を進める中で、次世代の治療として期待され、今後、産業として大きな成長が期待される有望市場である再生医療産業に着目。業界を牽引する神戸医療産業都市推進機構の細胞療法研究開発センター(RDC)との連携を強めるため、2018年に神戸医療産業都市内にメディカルエンジニアリングセンター神戸事務所を開設しました。RDCの川真田伸センター長と共に、再生医療に欠かすことができない細胞培養法の研究や細胞管理システムの開発などに取り組み、誕生したのが自動細胞培養装置「CellQualiaTM(セルクオリア)Intelligent Cell Processing System」です。
CellQualiaTM(セルクオリア)Intelligent Cell Processing System
神戸を基盤に世界を目指す
再生医療製品の原材料でもあり、製品でもある細胞は、「細胞」自体が生き物であるため、製造に細心の注意と労力を要し、微妙な条件や手順の違いが品質に大きく影響します。そのため、質の安定と生産効率向上に向けた製造工程の自動化が課題となってきました。課題解決のためには、常に培養工程全体を監視しながら製造し、質も担保する必要があります。そこで同社は、細胞製造の監視に必要な機能を搭載した自動細胞培養装置の開発に乗り出し、幾度も改良を重ねた結果、セルクオリアを完成。培養の全工程を自動化した本製品は、細胞の状態をタブレット端末などでリアルタイムにモニタリングすることができ、収集したデータを製造工程の改善にも活かせることが特長です。また、外気に触れさせない完全閉鎖系システムにより無菌状態を保ち、品質の安定化と安全性を実現。省人化も叶え、低コストでの細胞製造を可能にしています。
今春、神戸医療イノベーションセンター内に開設したソリューション・ラボでは、セルクオリアの見学や細胞培養評価を実施し、将来的には実臨床で使用する細胞の受託製造も行う予定です。河村博年メディカルエンジニアリングセンター長は「本製品はまだ進化の途中。より細胞製造に適したシステムの開発を推進しながら、当社の取り組みに賛同してくださる企業や機関と共に、神戸医療産業都市内にエコシステムを構築し、神戸から世界に向けて新たな細胞製造方法を発信していきたい」と夢を語ります。
河村 博年 氏メディカルエンジニアリングセンター長
私たちは、再生医療発展の一端を少しでも担うことができればという熱意のもと、セルクオリアの開発に取り組んできました。今後は神戸を基盤に実績を重ね、世界に認められる製品へと成長し、セルクオリアが市民の皆様の誇りになることが願いです。当社の技術が難病で苦しむ人々のお役に立てるよう、前進を続けていきます。