がん病巣をピンポイントでやっつける高度陽子線治療を実施
兵庫県立粒子線医療センター附属
神戸陽子線センター
身体への負担が少ないがん治療
兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センターは、放射線の一種である陽子線を用いてがんを治す陽子線治療専門の医療機関です。陽子線とは、大きな加速器を使って陽子(水素イオン)を加速させ、エネルギーを高めたものであり、陽子線治療では、身体の外から病巣の深さや範囲に合わせて陽子線を照射し、がん細胞を死滅させます。1回の治療時間は準備を含めて20分程度で、陽子線の照射時間は1〜2分。治療回数はがんの種類や進行度によって異なりますが、入院の必要はなく、日常生活を続けながら治療を受けることができます。
陽子線治療の利点は、痛みや熱さなど治療に伴う苦痛がないことです。また、がん病巣だけを狙い撃ちするため、従来の放射線治療で使われるエックス線と比べると、病巣周辺の正常な細胞に与えるダメージが少なく、副作用や合併症のリスクを減らしながら優れた治療効果が期待できます。近年は治療成績の向上によって保険適用となるがん疾患が拡大しており、小児がんや成人の前立腺がん、膵がん、肝がんなどに加え、2024年6月からは早期肺がんも対象となりました。
ポートアイランド内の連携強化でより良い医療を
同センターは、日本初の小児がんに重点を置いた陽子線治療施設として2017年に設立されました。廊下で直結している兵庫県立こども病院と緊密な連携を図り、小児がんにおける陽子線治療の実績では設立初年度から全国トップレベルを誇ります。また、前立腺がんを中心とした成人のがん治療にも幅広く対応しています。今春より同センター長を務める徳丸直郎氏は「神戸低侵襲がん医療センターや神戸市立医療センター中央市民病院など、がん治療に注力する近隣の医療機関と各々の強みを生かした協力体制を取り、質の高い医療が提供できている」とこれまでの実績を高く評価。今後もより良い医療の実践に努めながら、「神戸医療産業都市内の医療関連企業との連携も模索していきたい」と抱負を語ります。また同センターでは、ホームページに寄せられる一般の方からの医療相談にも応じています。徳丸センター長は「陽子線治療はがん治療における選択肢の一つ。相談があった場合は他の治療法も含めて検討し、患者さまが最適ながん治療にたどり着くためのお手伝いをしたい」と力を込めました。
大人用照射室
当センターでは毎週金曜日の夕方に施設見学(予約制)を実施していますので、興味がある方はお問合せください。また11月2日土曜に開催される「神戸医療産業都市一般公開」では加速器などの陽子線治療に使用する高機能医療機器を間近に見ることができる院内ツアーを予定しています。医療従事者を目指す中高生や陽子線治療に興味がある方など、ぜひこの機会にお申込みください。
IMDA国際医療開発センター
医療現場の様々な課題をIT技術で解決
ジーワン株式会社
ソフト開発技術を医療分野に応用
ジーワン株式会社は、1999年よりホスティングサービス、ウェブサイト、システム開発受託事業を主軸として成長してきました。その中で培った技術とノウハウを生かし、2009年より製薬会社の医薬品プロモーションに特化したデジタルマーケティング支援を開始。現在は医療・ヘルスケア分野のDXやアカデミアとの共同研究開発も手掛けるなど、医療・医薬品業界のITソリューションを中心とした事業を展開しています。
医療領域に参入した動機について、代表取締役CEOの森 啓悟氏は「大阪で事業をしていた頃、体調を崩して神戸市内の病院に入院し、療養中に見えた医療業界の課題をITの力で解決したいと考えた」と話します。かねてより、先端テクノロジーの導入やスタートアップ支援に前向きな神戸市の施策に注目し、グローバルな地域性にも魅力を感じていた森氏は、退院後に神戸への進出を決意。2021年には神戸医療産業都市(KBIC)に新たな拠点を開設し、「患者・家族・医師・エッセンシャルワーカーが、医療に向き合う時間をより多く創出する」というビジョンのもと、医療現場の業務効率化などに取り組んでいます。
医療課題に直接アプローチする
同社では近年、KBIC内の医療機関との共同研究を積極的に行っています。その一つとして、神戸低侵襲がん医療センターと、テレプレゼンスアバターロボット(遠隔自走型分身ロボット)を活用した実証実験を実施。書類・医薬品等の院内搬送や患者さんの遠隔でのケアといった看護師業務の、テレプレゼンスアバターロボットを用いた負担軽減の実現に取り組んでいます。また現在は、本研究の発展型プロジェクトである「スペシャルキッズ未来構想チャレンジコンソーシアム」を推進しています。これは、病気による長期入院や障がいなどの理由により、屋外活動や外出に制限のある子どもたちにテクノロジーの力でさまざまな体験機会を提供することを目的に始まったもので、2025年にはロボットを活用した大阪・関西万博パビリオンのバーチャルツアーを計画しています。森氏は「医療のIT化によって『あって良かった』と思ってもらえるものを、患者さんに直接届けることが目標。将来有望なスタートアップと協働しながら、その実現に向けてまい進したい」と熱く語りました。
「どこでも万博」公式ウェブサイト▶︎
産学官があらゆる垣根を超え、一体となって医療課題の解決に取り組めるのがKBICの魅力。医療現場に当社の技術がインストールされ、幅広い世代に活用していただける未来を想像しながら、今後も努力を続けます。KBICの一員として、地域の医療現場を良くしたいという思いを強く持っていますので、ぜひご支援をお願いします。