医療機器等事業化促進プラットフォーム成果事例

成果事例 株式会社コバヤシ

製品化した製品・サービス

抗がん剤曝露防止「一体型輪液ライン」の共同研究開発 完全一体型輪液セット“アンティリーク”

製品化・実用化までの流れ
アンティリーク
インタビュー 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床工学技術部 中央医療機器管理部門 チーフ 吉田哲也さん × 株式会社コバヤシ 医療機器事業部 マーケティング&エデュケーション 遠藤伊万里さん
開発者の声

ニーズとシーズが「プラットフォーム」によりマッチング

ー共同研究開発の背景ときっかけは?

吉田 医療機器の操作時に抗がん剤が漏出した事例があり、抗がん剤曝露について知り得ました。調査の結果、投薬時に用いる輸液ラインにももちろん曝露対策はされていますが、複数の抗がん剤投与の際、薬を取り換えるために着脱を繰り返さなければならず、まったくゼロというわけではありませんでした。がん薬物療法は、患者、投与スタッフ、また医療機器の保守管理を行うスタッフへ向けても十分な曝露対策が必要です。そこで完全に漏れない輸液ラインの研究開発を考え、そのニーズを「プラットフォーム」に投げかけていたところ、株式会社コバヤシ様を紹介され、2015 年5 月に開発に着手しました。

遠藤 「プラットフォーム」にマッチングしていただき、吉田さんと話し合い、抗がん剤バッグを一度接続したら “外さない”、つまり、あらかじめ一体化した輸液ラインの方が、安全性が高く業務の標準化もしやすいと、プロトタイプを作成することになりました。

ー開発はどのように進められましたか。

吉田 まず、既存5 社の製品とプロトタイプの計6つに対して、蛍光剤を用いた定性試験と、実際に抗がん剤を用いた定量試験の2種類を行いました。その結果、プロトタイプは漏れがゼロだったのです。これを踏まえてより使いやすく、安全なものを求めて、専門看護師、薬剤師らとのブレインストーミングを行いながら、プロトタイプをブラッシュアップしていきました。

遠藤 ブレインストーミングの結果を受け、その都度プロトタイプを改良し、最終的には5種類を作成しました。たとえば、投与手順を標準化するために、誰もが知っている童謡「チューリップ」の歌詞に出てくる「赤、白、黄色」の色の順番でチューブを識別できるようにしたり、吉田さんのご意見からチューブのプライミングが自動になるオートプライミング機構を開発するなど、さまざまな工夫を凝らして製品として完成させました。おかげさまで2016年4月に販売を開始しました。

今後も現場の声を反映した製品づくりを

ー開発を終えていかがでしょうか。

吉田 私自身、「プラットフォーム」の枠組みを活用し、民間企業と共同開発を行うのは初めてでしたが、研究が社会的意義のあるものとしてアウトプットできたことに大きな手応えを感じています。企業と二者だけではなく、「プラットフォーム」との三者で行ったことで、私自身も俯瞰的な立場で全体を見ることができました。透明性を保ちながら思い切った意見も出せましたし、現場の協力も得られやすかったです。今後も現場からの意見をしっかりフィードバックして、ブラッシュアップを続けていきたいと考えています。

遠藤 吉田さんというファシリテーターと「プラットフォーム」がいらっしゃらなかったら、実現できていませんでした。やはり、現場の声をダイレクトに、しかも制限なく自由にいただけるのが、とてもありがたかったです。これからも病院の環境の変化に対応して二人三脚できるよう、皆様のお声をきちんと反映できる企業として成長していきたいと、スタッフ一同思っています。

ユーザーの声

医療法人咸宜会 日田中中央病院 看護師 泉 幸さん

曝露対策はどの施設でも抱えている課題の一つだと思います。当院も曝露に対し統一性がなく悩んでいたところ、「アンティリーク」と出会い、勉強会や病棟訪問、指導などを行って、発売と同時に採用しました。抗がん剤、分子標的薬剤投与をされる患者様(入院・外来に関わらず)全員に使用しています。治療件数は年間600~700 件ほどです。「アンティリーク」は、オートプライミングですべてのルート内に薬液(メインの点滴:生食など)が満たされるので、ビン針の抜き差し、バックプライミング、薬剤数に応じた輸液セットなどの備品も不要となり、ルート内のウォッシュアウトも容易に行えます。曝露の機会も減り、コストダウンにも繋がっています。スタッフが同じ手順で安全に、安心して薬剤投与できるようになりました。