2023.12.27
公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構第9回 神戸先端医療研究センターセミナー
- 企業・研究者向け
- 医療関係者向け
詳細な内容
神戸先端医療研究センターセミナーは、新しい医療に繋がりうる基礎研究、正常と病気を理解する研究、臨床試験まで行った研究など、幅広く医学生物学研究の講演等を企画してまいります。研究者・技術者の参加をお待ちしております。
【プログラム】
◆講 師
木村 晋也 先生 佐賀大学医学部内科学講座 血液・呼吸器・腫瘍内科 教授
佐賀大学医学部 創薬科学共同研究講座 教授
◆演 題
慢性骨髄性白血病患者、全員の完治を目指して:育薬と創薬
◆内 容
慢性骨髄性白血病 (CML) の予後は、ABL チロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) によって劇的に改善した。しかし長期服用による有害事象や経済毒性が問題となった。我々は、約半数のCML患者において第2世代TKIダサチニブを中止しても再発しない治療不要寛解 (TFR) が達成できることを報告した(Lancet Haematol 2015, 2020)。特定のNK細胞KIR を有するとより早くCML細胞は減少するが (Cancer Immunol Res 2018)、HLAとの組み合わせが不利な場合、TFR維持は困難であった (Mol Cancer Ther 2021a)。また高齢CML患者においては標準量のわずか 1/5量のダサチニブで十分であることも報告した (Lancet Haematol 2021)。
より多くの患者でTFRを実現するため、TKIの併用薬探索や新規薬剤の開発を行った。まずゾレドロン酸 (Blood 2003) やBCL-2阻害剤 (PNAS 2006) の併用が、TKIsの効果を増強することを明らかにした。その後、産学連携で第2世代TKIバフェチニブを開発し (Blood 2005, 2007)、臨床第I相試験 (P-1) を行った (Cancer 2010)。さらに変異ABLに対しオーロラキナーゼ阻害剤が有効であることも示した (Blood 2010)。現在、経口可能な新規DNAメチル化阻害剤 OR-2100 (Blood 2020, Mol Cancer Ther 2021b) 、癌細胞に特異性高くオートファージを誘導する葉酸修飾シクロデキストリン (Cancers 2021, IJMS 2023) やDNA/RNAヘテロ核酸 (Invest New Drugs 2020) を開発している。OR-2100は、骨髄異形成症候群を対象にP-1を行っているが、本剤が DNMT1 の阻害によってCML幹細胞の排除に有用であることも見出している (Cancer Lett 2022)。創薬と育薬を融合させ、全てのCML患者を治癒に導きたい。
会場住所
〒650-0047
神戸市中央区港島南町6丁目3番地の7
お問い合わせ先
神戸医療産業都市推進機構 セミナー事務局
078-306-0708
ibri-seminar@fbri.org
入力者
神戸医療産業都市推進機構