2026.09.14
公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構第19回 神戸先端研セミナー
- 企業・研究者向け
- 医療関係者向け
詳細な内容
神戸先端医療研究センターは、新しい医療に繋がりうる基礎研究、正常と病気を理解する研究、臨床試験まで行った研究など、幅広く医学生物学研究の講演等を企画してまいります。研究者・技術者の参加をお待ちしております。
【プログラム】
◆講 師
川上 敏明 先生
La Jolla Institute for Immunology 名誉教授
◆演 題
我々のアレルギー研究の歴史
◆内 容
マスト細胞と好塩基球に発現される高親和性IgE受容体FcRIは、IgEと抗原で刺激されると活性化シグナルが生成されて、脱顆粒(ヒスタミン、各種タンパク分解酵素などを細胞外へ放出する)、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの脂質や多種のサイトカインの生成・分泌を惹起させる。1990年以来、我々の研究室ではシグナル伝達の機序を追求してきた。今講演では、その一部と最近15年にわたって研究したHistamine-releasing factor(HRF)について紹介したい。
IgEと抗原によるFcRIの会合はLynやFynなどのSrcファミリーのチロシンリン酸化酵素(PTK)を活性化して、ついでSykという別のPTKを活性化することで上記の現象を引き起こす。我々は、マスト細胞に2種のPTK(Btk とItk)を発見し、Btkの役割、BtkとProtein Kinase C (PKC)との関係、さらにRasの活性化の機序を明らかにした。Btk阻害剤はB細胞が増殖する慢性リンパ性白血病の標準的な治療薬となっているが、アレルギー予防にも使う可能性が研究されている。2000年までには、PI3K, PLC-1/PLC-2, LAT, などの関与がわかってきた。PI3Kの下流に位置するAktが多くのサイトカインの産生と分泌をコントロールする機序も明らかにした。
我々とカナダのグループが独立して、IgEによるマスト細胞の生存延長作用を見出した。この二つの研究には、サイトカイン産性能の有無に違いがあるが、これはIgEに多様性にあることに由来した。IgEの多様性との関連のある現象は何かあるかと見渡すと、HRFがすぐ思いつく。HRFは一部のアレルギー患者のIgEで感作した塩基球を活性化して、ヒスタミンやIL-4やIL-13などを放出させるが、正常人のIgEで感作した塩基球には働かない。我々は25%前後のIgE・IgG・IgMのFab部分がHRFと結合できることを明らかにした。HRFはHRF結合性IgEで感作したマスト細胞も活性化できる。HRF-IgE結合の阻害剤(HRF断片やHRF特異抗体)は、IgE依存性の喘息・食物アレルギー・アナフィラキシーのいずれも抑制した。これらのHRF阻害剤の臨床応用が期待される。
会場住所
〒650-0047
神戸市中央区港島南町6丁目3番地の7
お問い合わせ先
神戸医療産業都市推進機構 セミナー事務局
078-306-0708
ibri-seminar@fbri.org
入力者
神戸医療産業都市推進機構