先端医療研究センター神経変性疾患研究部

Research Focus研究内容

ASPDと神経ネットワーク

ASPDは、Aβモノマーはもちろんのこと、老人斑の主成分である線維状Aβ凝集体や、他のAβオリゴマーとは、全く異なる立体構造を持つ。このASPD特異的立体構造を認識する抗体は、細胞や組織においてASPDを選択的に検出出来る。これを使って解析をしてみると、現在、基礎応用の両方で最も幅広く活用されている5xFADマウスにおいて、ASPDは神経細胞脱落と量・出現部位とも極めて良く相関するのに対し、Aβ凝集体は小脳のようなアルツハイマー病では障害されないはずの領域にも広く検出されることがわかった。

そこで、抗ASPD抗体を使って、ASPD蓄積と神経細胞脱落の時空間変化を解析している。大脳皮質では、ASPDは主に第5層を中心に蓄積し、その第5層に、ヒトで認められるように層状に近い神経細胞脱落が認められることがわかった。さらに、ASPDは特定の神経細胞内で形成が起こり、それが月齢が進むにつれて、細胞を取り囲むような蓄積に変わることがわかった。

ヒトでは認知症に先行して、default mode networkと呼ばれる大規模ネットワークの低下が起きることが識られている。ASPDのターゲットとなるNKAα3を高発現する神経細胞はパルブアルブミン陽性神経だが、アルツハイマー病で初期病変が報告されている前脳基底野のパルブアルブミン陽性神経は、default mode networkの制御に関わることがわかってきており、ASPDの伝搬と神経大規模ネットワークの関係にも着目している。

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