アルツハイマー型認知症を短時間で評価できる認知症の新規評価スケール「ABC認知症スケール」の開発支援

※本事例は神戸医療産業都市の研究支援機関である神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI)の支援事例です

研究事例ヘルスケア

The Challenge開発・製品化の背景

資格なしでアルツハイマー型認知症の評価を可能に

認知症の重症度や介入療法の評価においては、認知機能の評価のみならず、行動・心理症状や日常生活動作、クオリティ・オブ・ライフの指標も重要な要素です。現行ではミニメンタルステート検査や長谷川式スケールが一般的ですが、これらは認知機能の評価に限られています。その他の神経心理学的検査は専門的な評価者訓練が必要であり、包括的かつ簡便に評価できるスケールはありませんでした。
そこで、神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI)は、アルツハイマー型認知症の診療時に専門医のみならず非専門医、医療従事者が簡便に正しく評価できる、新しいスケールの開発支援依頼を受け、開発を推進しました。

The Solution神戸医療産業都市の支援

研究結果の統計解析

TRIでは、合計約1,300例のアルツハイマー型認知症患者あるいは、まだ認知症ではないが認知機能が低下し始めていると診断された患者を対象に3つの臨床研究を実施。研究実施計画書の作成支援、臨床研究実施手続きの支援・管理、データマネジメント、研究結果の統計解析などを行いました。
統計解析では、アルツハイマー型認知症患者の評価のための認知症新規評価スケールの案の構成概念妥当性、被験者グループ判断力、評価者間信頼性、評価者内信頼性、標準的な評価スケールとの並存妥当性および反応性を検討し、認知症の新規評価スケール「ABC認知症スケール」を完成させました。

The Results達成した成果

ABC認知症スケールの完成と全国への提供

「ABC認知症スケール」は、評価者が介護者に患者の様子を質問することで評価を行います。評価者に臨床心理士の資格や特別な訓練は必要ありません。評価に必要な質問数は13問で、日常生活動作(Activities of Daily Living)に関する項目が6問、行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptom of Dementia)に関する項目が3問、認知機能(Cognitive function)に関する項目が4問です。要する時間は平均10分です。患者の経時的な病状や、重症度の変化を評価することができ、現行の認知機能検査との相関があるため、代替が可能となります。以上より、「ABC認知症スケール」は、認知症を専門としない医師からも好評を得ています。
TRIは、アルツハイマー型認知症の公共の評価スケールである「ABC認知症スケール」を無償で提供する(商業目的の場合を除く)体制を構築し、普及支援を続けています。

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