難治性眼表面疾患に対する新規治療法再生医療等製品「サクラシー®」実用化支援

※本事例は神戸医療産業都市の研究支援機関である神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI)の支援事例です

製品化事例 再生医療
  • 事例カテゴリー
    製品化事例 | 再生医療
    支援サービス
    医療機関・産学連携支援 | PMDA戦略相談
  • 研究名
    ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート「サクラシー®」
    施設名
    京都府立医科大学
    連携先
    ひろさきLI株式会社
  • 研究概要
    角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着軽減を目的とした再生医療等製品

The Challenge開発・製品化の背景

長年有効な治療法がなかった難治性眼表面疾患に対する新規治療法の開発

本製品は、角膜上皮幹細胞の消失によって傷んだ眼の表面に、粘膜上皮細胞を供給し、再建しようとする新しいコンセプトで開発された新規治療法です。 角膜上皮幹細胞疲弊症(※)に伴う眼表面の角膜及び結膜の癒着を解除し、瘢痕(はんこん)組織を除去した後、露出した眼表面に本製品を移植することで細胞が生着・上皮化し、眼表面の異常を修復することを目的としています。
(※)黒目を覆っている角膜上皮の幹細胞が障害を受けたために、新たな角膜上皮が供給されず、角膜が結膜組織で覆われることにより視力が著しく低下する疾患。

ヒト羊膜基質を用いた口腔粘膜上皮細胞シート

本製品では、妊婦の子宮内にある胎盤の一部で、胎児を包み羊水を保持している薄い膜である羊膜を用います。羊膜は拒絶反応が起こりにくく炎症を抑制する性質があることが知られており、再生医療分野での新しい素材として応用が期待されています。 本製品は、この羊膜の性質を利用し、患者さん自身の口腔粘膜上皮細胞を羊膜上で培養して作製する「培養自己口腔粘膜上皮細胞シート」です。本シートを患部に移植することで異常な角結膜を再建し、目の表面を正常に近い状態に導くことが期待できます。また、口腔粘膜を用いることで、両目の幹細胞が傷ついた患者さんも治療の対象とすることができます。

サクラシー®(一般名:ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート)

The Solution神戸医療産業都市の支援

研究、医師主導治験のサポート から受託製造までトータルサポート

医療イノベーション推進センター(TRI)では、2002年より京都府立医科大学で行われた調査研究から、先進医療B、医師主導治験まで、通算で101名分のデータを集め、アカデミアをサポートしてきました。また、本製品の製造も行っており、再生医療ベンチャーのひろさきLI株式会社により販売されています。

The Results達成した成果

再生医療等製品として国内で製造販売承認を取得

本製品は、2022年1月、角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着軽減を目的とした再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。特に従来型の角膜移植の適応外であり治療方法のない重症の難治性眼表面疾患(スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、重症熱・化学外傷 等)の患者さんへの新たな治療選択として期待されています。 本製品の販売名は「サクラシー®」。「患者さんが桜を見ることができるように」との願いが込められています。

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