COPD患者に対する治療法「高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)」の在宅使用に向けた研究支援

※本事例は神戸医療産業都市の研究支援機関である神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI)の支援事例です

研究事例医療機器
  • 事例カテゴリー
    研究事例 | 医療機器
    支援サービス
    医療機関・産学連携支援
  • 研究名
    COPD患者に対する在宅ハイフローセラピーの有効性及び安全性の検討
    施設名
    神戸市立医療センター中央市民病院
    連携先
    帝人ファーマ株式会社(資金提供)
  • 研究概要
    慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)患者に対する長期ハイフローセラピーの有用性の検討および、在宅酸素療法を必要とする安定期COPD患者における長期高流量鼻カニュラ酸素療法に対する有効性及び安全性に関する検討(多施設前向きランダム化比較試験(FLOCOP試験))

The Challenge開発・製品化の背景

COPD患者に対する有効な治療法

高流量鼻カニュラ酸素療法(ハイフローセラピー:HFNC)は、加温加湿されたガスを広径の鼻カニュラを用いて直接鼻咽頭内に送り込む治療法です。日本では、2016年度の診療報酬改定が影響して、入院中の患者の使用は急速に広がりました。在宅ハイフローセラピーは、在宅酸素療法と併用することによって、慢性の呼吸不全に対する治療効果が期待されますが、保険が適用されず、普及の障害となっていました。
そこで、神戸市立医療センター中央市民病院の富井啓介医師、永田一真医師らが中心となり、在宅ハイフローセラピーの有効性、安全性に関する2つの医師主導臨床研究が企画されました。その結果、全国から65医療機関の協力を得て、104人のCOPD患者を対象に、在宅ハイフローセラピーの有効性と安全性が検証されました。

The Solution神戸医療産業都市の支援

プロトコル開発、データセンター、
スタディマネジメント、統計解析を担当

これらの医師主導臨床研究で、医療イノベーション推進センターはプロトコル開発、データセンター、スタディマネジメント、統計解析を担当しました。 このような多数の医療機関による臨床研究の遂行には、適切なプロジェクトマネジメントと品質管理体制が必要です。FLOCOP試験の実施中には臨床研究法が施行され、より厳格な管理が求められることとなりました。 このような環境の変化もある中で、TRIは、研究者および支援企業(帝人ファーマ株式会社)と綿密に連携し伴走する形で、臨床研究の企画から論文作成までを支援しました。

The Results達成した成果

2022年4月診療報酬改定で、在宅ハイフローセラピーの算定が可能に

2つの臨床研究の結果は、研究者によってまとめられ、海外の学術誌に投稿されました。 さらに、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会を中心に、保険収載の提案が行われ、2022年4月に在宅ハイフローセラピーの算定が可能となりました。 病院内で患者さんに対して使用されてきた治療法が在宅でも使用可能になることで、患者さんの治療の選択肢が広がり、予後の改善だけでなく、生活の質(Quality of Life)を含めた大きなメリットとなることが期待されます。

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