2023.07.24
- 企業・研究者向け
- 医療関係者向け
詳細な内容
神戸先端医療研究センターセミナーは、新しい医療に繋がりうる基礎研究、正常と病気を理解する研究、臨床試験まで行った研究など、幅広く医学生物学研究の講演等を企画してまいります。研究者・技術者の参加をお待ちしております。
【プログラム】
◆講 師 小室 一成 先生 国際医療福祉大学 副学長
東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学 特任教授
◆演 題 ゲノム・オミックス統合解析から見えてきた心不全の分子機序
◆内 容
高齢化によりあらゆる循環器疾患の終末像である心不全の患者数、死亡者数が急増しており、世界的に大きな問題になっている。従来我々は遺伝子改変マウスを用いて心不全における多くの分子の役割を明らかにしてきたが、ヒトにおいて同じかどうかについては不明であった。最近我々は心筋シングルセルRNA-seq(scRNA-seq)、空間的トランスクリプトーム解析、ATAC-seq等の技術をマウスばかりでなくヒトのサンプルに応用することによって以下のような結果を得ている。
①心不全発症の原因は様々であるが、その中で治療反応性や予後を決めている重要な共通原因として心筋DNA損傷、p53発現亢進がある。②心不全患者は突然死、不整脈死が多いが、ごく一部の心筋細胞におけるドパミン受容体の発現増加が一因であることを明らかにした。③機械学習によって血中IGFBP7が心不全の重症化予測マーカーとなることを示した。④マルチオミックス解析によって重症心筋症の原因となるLMNA遺伝子変異により転写因子TEAD1の活性が低下していることを示した。⑤空間的トランスクリプトームとscRNA-seqにより心筋梗塞境界部でメカノセンシング遺伝子が発現し、心臓のリモデリングを抑制していることを明らかにした。⑥心房細動についてゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム統合解析を実施し、心房細動SNP領域に心筋細胞で特異的に結合する転写因子ERRgを同定した。
我々は現在、日本循環器研究コンソーシアムを構築し、豊富な臨床情報に紐づいたゲノム・組織検体を全国的に収集し、心房細動・心不全・動脈硬化のゲノム・オミックス解析を推進し、ゲノム情報だけでは十分に層別化できない疾患構造に対して、シングルセルマルチオミックスを統合した新しい層別化アルゴリズムの開発を目指している。
会場住所
〒650-0047
神戸市中央区港島南町6丁目3番地の7
お問い合わせ先
神戸医療産業都市推進機構 セミナー事務局
078-306-0708
ibri-seminar@fbri.org
入力者
神戸医療産業都市推進機構