2024.04.19
- 企業・研究者向け
- 医療関係者向け
詳細な内容
神戸先端医療研究センターは、新しい医療に繋がりうる基礎研究、正常と病気を理解する研究、臨床試験まで行った研究など、幅広く医学生物学研究の講演等を企画してまいります。研究者・技術者の参加をお待ちしております。
【プログラム】
◆講 師
平野 俊夫 先生
大阪大学名誉教授、大阪国際がん治療財団理事長
◆演 題
インターロイキン6発見38周年:IL-6と炎症・自己免疫・がん
◆内 容
本年はインターロイキン6(IL-6)発見38周年である。IL-6はBリンパ球に抗体産生を誘導するサイトカインとして1986年に発見されたが、その後の研究によりBリンパ球のみならずTリンパ球、マクロファージや樹状細胞など様々な免疫担当細胞に作用することが明らかになった。さらに免疫反応のみならず炎症反応や組織再生反応、あるいは神経系や、内分泌系や心臓血管系などさまざまな系に作用するサイトカインであることが明らかになった。また、老化や慢性炎症において中心的な役割を果たすサイトカインであることが明らかになりつつある。微生物感染、組織損傷、老化、肥満、ストレス、喫煙などの持続的な引き金によって誘導される慢性炎症は、自己免疫疾患、慢性炎症性疾患、がんなど、加齢に伴う疾患と深く関係している。感染防御や組織修復における急性炎症は制御された反応であるが、慢性炎症は制御を逸脱した反応である。COVID-19などに発症する急性呼吸促迫症候群は、サイトカインストームによると考えられており、制御を逸脱した急性炎症反応により誘導されると考えられる。炎症反応には様々な細胞やIL-1, IL-6, TNFaなどのサイトカインやケモカインが関与する。さらにNF-kBとSTAT3が中心的な役割を果たしている。実際、NF-kB活性はSTAT3により増強されIL-6など様々な炎症性サイトカインや増殖因子産生が増強される。この炎症増幅回路をIL-6増幅回路(IL-6アンプ)と呼んでいる。IL-6アンプの慢性的な活性化は関節リウマチなどの慢性炎症性疾患や様々ながんの発症を引き起こし、急性的な活性化はサイトカインストームを引き起こすと考えられる。
IL-6阻害薬は関節リウマチや、白血病のCAR-T治療における重篤な副作用であるサイトカインストームの治療薬として、また重症の新型コロナウイルス感染症の薬剤として使用されるに至っている。本講演では、IL-6研究38年を振り返るとともに、IL-6 の炎症、自己免疫、がんへの関与に関して総括したい。
会場住所
〒650-0047
神戸市中央区港島南町6丁目3番地の7
お問い合わせ先
神戸医療産業都市推進機構 セミナー事務局
078-306-0708
ibri-seminar@fbri.org
入力者
神戸医療産業都市推進機構