2023.05.30
- 企業・研究者向け
- 医療関係者向け
詳細な内容
神戸先端医療研究センターセミナーは、新しい医療に繋がりうる基礎研究、正常と病気を理解する研究、臨床試験まで行った研究など、幅広く医学生物学研究の講演等を企画してまいります。研究者・技術者の参加をお待ちしております。
【プログラム】
◆講 師 満屋 裕明 先生 国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所 所長・理事
米国国立癌研究所 レトロウイルス感染症部内科療法部門 部長
◆演 題 抗ウイルス薬の研究・開発と展望:次のパンデミックに備えて
◆内 容
1980年初頭に突如として登場したウイルス感染症 HIV/AIDSは現在も社会・経済・道徳といったあらゆる生活領域で大きなインパクトを与えている。そして今や我々はこれまで顧みられてこなかったコロナウイルス感染症:SARS-CoV-2/COVID-19による紊乱にも直面している。これらの二つの感染症はいずれも生物学と医学の領域にかつてない大きな衝撃をもたらした。
20世紀の後半になって、基礎生物学と臨床医学という2つのいわば明確に分離されていた領域の境界は不分明となり、分子生物学、結晶解析学、構造生物学等が全ゆる生物学の領域に進入し、基礎生物学と臨床医学の距離は一気に短縮された。それは、次々と死亡して行く多くの犠牲者を目の前にして、基礎生物学と臨床医学が、如何にこれらのウイルス疾患についての理解を深めるかよりも、何を感染者と患者にもたらし得るかが最も厳しく問われてきたからである。
SARS-CoV-2/COVID-19に対するmRNAワクチンが驚異のスピードで開発されたのは21世紀の科学がもたらした福音である。しかし、陸続と現れる変異株はワクチンへの期待に大きな影を落としている。他方、COVID-19ワクチン開発だけが先行してCOVID-19治療薬の開発は大きく遅れた。加えて、基礎的知見が蓄積される前に投薬された「候補薬」が希望的に「効いた」と誤って判断され「re-purposing (別の目的に再利用)」等の根拠のない期待がその傾向を助長した。
幸にしてSARS-CoV-2の主要プロテアーゼを標的とした治療薬等が先行したが、治療後の「リバウンド」や薬剤耐性変異株の出現はHIV/AIDSやB型肝炎等の化学療法における課題と完全に重なる。より強力・安全で耐性発現を許容しない化学療法剤の開発が言うまでもなく必要とされる。
本セミナーではHIV/AIDSに対する治療薬開発のアプローチを基礎としたB型肝炎とCOVID-19治療薬開発の新展開と我々を待ち構える次のパンデミック・ウイルス感染症への備えについて展望する。
会場住所
〒650-0047
神戸市中央区港島南町6-3-7
お問い合わせ先
神戸医療産業都市推進機構 セミナー事務局
078-306-0708
ibri-seminar@fbri.org
入力者
神戸医療産業都市推進機構