レンタルラボ

ウェットラボとは?
選び方とレンタルラボ5選

公開日:2022.01.18 更新日:2022.01.18

医療分野での研究・開発に欠かせないウェットラボ。

近年、安価なウェットラボの利用方法として、レンタルラボという利用形態が注目を集めています。それに伴い、新たなレンタルラボの建設も増加傾向にあります。

そこで、本ページではウェットラボの概要、レンタルウェットラボの選び方、研究事例、そしておすすめのレンタルラボを5つご紹介していきます。

今後のラボ選びの際に、ご参考にして頂ければ幸いです。

目次

ウェットラボとは

ウェットラボとは、特定の装置や薬品を用いて、物理・化学の実験を行うための研究施設を指し、また一方で医療分野では、動物の心臓や眼などを用いて手術手技の練習を行うことができる施設を指します。

本ページでは、物理・化学の実験を行う研究室としてのウェットラボについて説明していきます。

「ウェット」の語源は水を使う実験室というところからきている。

ウェットラボ・ドライラボの違い

ウェットラボと比較されるのがドライラボ。

ウェットラボ、ドライラボのいずれも実験・分析が行われるラボですが、実験・分析内容はそれぞれ異なります。

ウェットラボでは、物理・化学の実験に際して装置や薬品を実際に使用します。
一方でドライラボでは、コンピューターを用いて模擬的にシミュレーションを行います。

以下にウェットラボとドライラボの違いを表にまとめました。

ウェットラボ ドライラボ
実験例 生化学実験、細胞培養実験、遺伝子実験、医療機器のメンテナンス 量子状態分析、ゲノムデータ解析
主要機器 様々な実験用機器や装置。 バイオセーフティキャビネット、専用冷蔵庫、冷凍庫など コンピューター
ラボの仕様 一般的に、バクテリアや化学物質への耐性がある 機密性の高いコンピューターやネットワークがある
コンピューターの冷却を行うための、湿度レベルを制御できる空調システムなどが設置されている
考慮事項 給排水や排気ダクト、ガスや実験排気設備を備えており、バイオセーフティーレベルが担保されていること 効果的な統合通信システムを備えていること
実験工程 厳格なルーチン手順の下で行われ、同じパターンに調整される オンラインモードまたはオフラインモードで行われる

ウェットラボを利用する方法として、大きく「自社ラボ」「大学ラボ」「レンタルラボ」の3種類が存在します
その中でも、なぜレンタルラボが注目されているかを以下でご説明していきます

レンタルのウェットラボが注目されている理由

ウェットラボを利用する際、大きく次の選択肢があります。

  1. 企業が独自に保有、運営をする「自社ラボ」、
  2. 大学内のシーズを活用しながら研究を進める「大学ラボ」、
  3. 賃貸オフィスのように実験・研究スペースを借りられる「レンタルラボ 」

この中でも特にスタートアップ・中小企業を中心に利用されているのが3つ目の「レンタルラボ」。

自前でラボを建設する「自社ラボ」よりも初期コストを抑えられることが大きく、「大学ラボ」と比べて利用の条件が少ないのがその理由です。


レンタルラボの施設によっては、他にも次のようなメリットがあります。

  1. 無料で利用できる共有機材が用意されている
  2. 都心部へのアクセスがしやすい場所にある
  3. 企業間の交流を活発にする仕掛けを行っている
  4. 事業支援のサポートを行っている

レンタルラボをうまく活用すれば低コストで研究・開発を行うことができる。

それではレンタルラボはどのように選ぶべきなのでしょうか。
レンタルウェットラボを選ぶ際のポイントをご紹介していきます。

レンタルウェットラボの選び方5つのポイント

ウェットラボを選ぶ際はまず、研究に必要な機器と設備のスペックを明確にし、ウェットラボでどんな研究をどの程度の規模・期間行うのかを具体的に想定することが重要です。

その上で押さえておくべきポイントは主に次の5つです。

  1. 広さ・設備
  2. 入居条件
  3. サポート体制
  4. 周辺環境
  5. 助成金・補助金プログラムの有無

選び方 #1 - 広さ・設備

まず一つ目のポイントは「広さ・設備」を確認することです。

特に、「天井高」、「電気容量」、「床荷重」、「空調・吸排気設備」、「給排水設備」、「BSLレベル」はしっかりと確認する必要があります。

例えば、研究に使用する機器は巨大で重く電気消費が激しい物もあり、「天井高」、「電気容量」、「床荷重」を確認しないと搬入ができず、研究に利用できないリスクがあります。また、「空調・吸排気設備」、「給排水設備」を確認しないと、研究廃材等の処理で近隣トラブルになるリスクもあります。「BSLレベル」については確認しないと場合によって研究自体が行えないリスクがあります。インフルエンザウイルスの研究を行う場合でも、少なくともBSLレベル2以上の水準が求められるのです。

施設を契約する前に、具体的な研究内容を相談して、希望の条件を満たす施設を選ぶことをおすすめします。

選び方 #2 - 入居条件

2つ目のポイントは「入居条件」です。

入居する前に契約の条件を確認する必要があります。

例えば、大学が運営しているラボは大学との共同研究や大学発のベンチャーしか入居できないケースがあります。また行政が運営するラボは入居可能な期間が決まっていることが多く、短い場合は2年間で他の施設を探す必要があります。

中には入居に際し研究内容の審査が必要なラボもあり、民間が運営するラボでも研究ジャンルを特定している所もあります。

選び方 #3 - サポート体制

ポイント3つ目は「サポート体制」。

施設によっては、中小企業支援に取り組んでいるラボやベンチャー支援が充実しているラボなどもあります。

例えば、中小機構が運営するインキュベーションラボではインキュベーションマネージャーが常駐しており、研究開発の助言や資金調達、販路開拓の相談にものってくれます。
神戸医療産業都市ではスタートアップのシードステージからアーリーステージを積極的に支援するプログラムがあるなど、施設によって特色があります。

契約前に各ラボのサポート体制を比較してから決めることで、今後の研究成果や事業成長に大きく影響します。

選び方 #4 - 周辺環境

ウェットラボを選ぶ際に見逃しがちなのが、4つ目の「周辺環境」。

ウェットラボがどんな立地状況かを確認することはとても重要です。

市街地にあり、アクセスの便が良い立地の場合通勤はしやすいが、その分周辺環境に住居や商業施設もあるため、研究内容によっては配慮が必要な場合があります。

一方で、市街地から離れれば、通勤や食事の便は悪くなるが、研究に集中できる環境が整っていることが多いです。
両者のバランスを見ながら、最適な周辺環境を選択するようにしてください。
神戸医療産業都市のウエットラボは市街地から近くに位置しておりますが、住居が建設できないエリアであり、
研究のための周辺環境も整っているため、人気の高いラボエリアとなっています。

選び方 #5 - 助成金・補助金プログラムの有無

ウェットラボの選び方、最後のポイントは「助成金・補助金プログラムの有無」です。

自治体によっては、ウェットラボの入居に際して助成金・補助金を出しています。
例えば、神戸市では主に次の2つの助成金・補助金プログラムを提供しております。

オフィス・ラボ
賃料補助制度
賃料の50%以内(㎡当たり最大1,500円/月)を3年間補助
シェアラボ・シェア
オフィス利用料補助
対象施設に対して、シェアラボ・シェアオフィス利用料の50%以内を
2年間補助する

※いずれも事前に申請手続き等が必要です。詳細は問い合わせにてご確認ください。

サポート体制や周辺環境なども考慮して、レンタルウェットラボを選ぶことが重要。

ここまでレンタルウェットラボの選び方を見てきました。
具体的にウェットラボではどういう研究が行われているのでしょうか。
神戸医療産業都市が運営しているウェットラボの利用者の事例をご紹介していきます。

神戸医療産業都市 ウェットラボでの研究事例4選

ウェットラボでは分野を問わず、様々な研究が行われています。

例えば、医薬・バイオ分野では医薬品の研究開発、再生医療等製品の研究開発。
医療機器分野では医療機器開発のための基礎研究、製品開発、非臨床試験などが実施されています。

以下では、神戸医療産業都市が運営しているウェットラボで行われた実際の研究事例をご紹介していきます。ウェットラボでどういう研究が行われているかの具体的なイメージを持って頂ければ幸いです。

ウェットラボの研究事例 #1 - 新規神経幹細胞による脊髄損傷の治療法の開発

再生医療技術を利用した新規神経幹細胞による脊髄損傷の治療法の開発。

リアルタイムPCRやオールインワン蛍光顕微鏡、安全キャビネットをはじめとする豊富な共用機器が利用可能であり、イニシャルコストを抑えつつ充実した研究環境を手に入れることができることからシェアラボに入居されました。

ウェットラボの研究事例 #2 - 自己免疫疾患や癌に対する新規医薬品の開発

免疫の調整機構の解明とその制御方法の研究を通して、関節リウマチなどの自己免疫疾患や癌に対する新規医薬品の開発。

国立研究開発法人理化学研究所をはじめとする有力な研究機関や医療機関との協業・連携によって、研究開発の加速が期待できるとともに、PMDA相談連携センターが設置されているなどの周辺環境に魅力を感じ入居されました。

ウェットラボの研究事例 #3 - 自己免疫疾患や癌に対する新規医薬品の開発

iPS 細胞を用いた再生医療等製品の研究・開発を推進。

細胞培養や実験動物を使用した評価実験を行うため、P2 レベルの遺伝子組換え実験および BSL2 レベルの培養が可能なラボに入居されました。

ウェットラボの研究事例 #4 - 心疾患治療用医療デバイスのメンテナンス

心疾患治療用医療デバイスのメンテナンスを実施。
空気圧の状態、コンプレッサーの状態、圧力調整弁の動きなど、駆動装置の多種多様な機能と各種構成品の点検整備を行うためにウェットラボを活用。

当医療デバイスに関する保守、講習会や学会での指導の機会も多くある点、空港からのアクセスが良好である点、さらに周辺に病院が多く隣接する点からラボに入居されました。

神戸医療産業都市には高度専門病院や研究機関が数多く所在している。

ここまで、ウェットラボの選び方・具体的な研究事例をご紹介しました。
本ページの最後に、神戸医療産業都市が運営しているレンタルラボ5つをご紹介していきます。

おすすめのレンタルウェットラボ5選

神戸市では、ポートアイランド内にウェットラボを備える施設が10か所あります。 ここでは特徴的な施設を中心に5か所を紹介していきます。

ラボ #1 - スタートアップクリエイティブラボ(SCL)

スタートアップクリエイティブラボ(SCL)はライフサイエンス分野に特化した研究開発型スタートアップのためのシェアラボ。

共用実験機器が完備されているため、手ぶらで入居しすぐに研究が始められ、利用料補助を利用すれば、月8万円でP2レベルの実験が可能です。

無料で利用できる共有実験機器
安全キャビネット 培養顕微鏡 クリーンベンチ
ドラフト セルカウンター オートクレーブ
CO2インキュベーター 純水製造装置 遠心機
ハイブリダイゼーションインキュベーター イオン交換水製造装置 pHメーター
超微量分光光度計
(Nano drop)
電子天秤 製氷機
リアルタイムPCR 冷蔵庫 サーマルサイクラー
マルチプレートリーダー フリーザー(-20℃) ヒートブロック
オールインワン蛍光顕微鏡 ディープフリーザー
(-80℃)
化学発光・蛍光撮影装置
( LAS)
恒温乾燥機 ボルテックス ウォータバス

また、ウェットラボを複数社で共用するため、自然と研究者同士のコミュニケーションも活発になります。研究者集団であるリバネスのスタートアップ支援を受けることができます。

施設名 スタートアップクリエイティブラボ(SCL)
住所 クリエイティブラボ神戸(CLIK)2階
〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町6-3-7
広さ 1ベンチ1デスクから利用可能
設備 給排水・ガス・排気ダクト
共用実験機器
動物実験室
バイオハザードレベル (BSL): レベル2
その他 会議室・駐車場完備
リバネスをはじめとするSCLサポートチームより事業化推進支援
研究促進クラウドシステム「reprua」の導入

ラボ #2 - クリエイティブラボ神戸(CLIK)

クリエイティブラボ神戸(CLIK)は2020年10月に開設したばかりのラボビル。

ポートライナー「計算科学センター」駅から徒歩2分の好立地。

1階に動物飼育・実験施設、2階に交流を促進するイノベーションパークやカフェがあり、6階に最新鋭のFACSなどの高度な研究機器を配備した「共用機器室」があります。

約35㎡からの多様なウェットラボを備え、P2レベルの実験ができます。

施設名 クリエイティブラボ神戸(CLIK)
住所 〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町6-3-7
広さ 約35㎡~利用可能
設備 給排水・ガス・排気ダクト
共用機器
動物実験室
バイオハザードレベル (BSL): レベル2
その他 会議室・駐車場完備
イノベーションパーク(イベントスペース)、カフェあり

クリエイティブラボ神戸(CLIK)への入居企業のリストはこちらよりご確認ください。

ラボ #3 - 神戸医療イノベーションセンター(KCMI)

神戸医療イノベーションセンター(KCMI)はポートライナー「計算科学センター」駅直結のレンタルウェットラボ施設。

内装仕上げのウェットラボのほか、階高6.3m・耐荷重1t/㎡のスケルトン仕様で再生医療等の製品開発にも対応可能なCPC設置に最適なウェットラボもあります。

ウェットラボは約50㎡からあり、フロア貸しもできます。
P2レベルの実験が可能です。

施設名 神戸医療イノベーションセンター(KCMI)
住所 〒650-0047 神戸市中央区港島南町6-3-5
広さ 約50㎡~利用可能
設備 給排水・ガス
CPC室
バイオハザードレベル (BSL): レベル2
その他 会議室・駐車場完備
休憩室あり

神戸医療イノベーションセンター(KCMI)への入居企業のリストはこちらよりご確認ください。

ラボ #4 - 神戸医療機器開発センター(MEDDEC)

1階には生体ブタを用いた医療機器・再生医療の研究・開発・評価が行えるオペ室を完備した公的ビジネスインキュベーション施設。

大手企業の新規事業開発やベンチャー企業の支援経験があるインキュベーションマネージャーが施設に常駐しており、経営相談、事業計画作成、資金調達、助成金申請、販路開拓等の相談・支援などを行います。
約30㎡からP2レベルの実験が可能なウェットラボを備え、オペ室と連携した利用も可能。

施設名 神戸医療機器開発センター(MEDDEC)
住所 〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-16
広さ 約30㎡~利用可能
設備 給排水・ガス・全熱交換型換気扇
動物実験用オペ室
中和処理施設、非常用電源
バイオハザードレベル (BSL): レベル2
その他 会議室、駐車場・駐輪場完備
研修室(42名収容)あり

神戸医療機器開発センター(MEDDEC)への入居企業のリストはこちらよりご確認ください。

ラボ #5 - 神戸国際ビジネスセンター(KIBC)

ポートライナー「医療センター前」駅から徒歩1分の好立地。

天井が高いことが特徴であり最大4,800mm、耐荷重2,000kgのウェットラボもあります。
また、荷物用のエレベーターを完備し、大型実験設備の搬出入も簡単です。

約70㎡から多様なウェットラボを備え、P1レベルの実験が可能です。

施設名 神戸国際ビジネスセンター(KIBC)
住所 〒650-0047 神戸市中央区港島南町5-5-2
広さ 約70㎡~利用可能
設備 給排水・ガス・排気ダクト(一部テナント工事要)
バイオハザードレベル (BSL): レベル1
その他 会議室・駐車場完備
カフェあり

神戸国際ビジネスセンター(KIBC)への入居企業のリストはこちらよりご確認ください。

まとめ

今回はウェットラボの概要、研究事例、レンタルウェットラボの選び方をご紹介しました。

自社でウェットラボの施設を揃えるのは、初期コストがかかるためスタートアップや中小企業からすると現実的ではありません。

レンタルラボを上手に活用することで、コストを抑えることはもちろん、今後の事業化の道筋も立てやすくなります。

神戸医療産業都市では、本記事でご紹介したレンタルラボの提供だけではなく、
医療ビジネスの成長をサポートする様々なサービスを提供しております。

医療関連のビジネスで連携をご希望の方は、ご相談頂けると幸いです。

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